久しぶりに気合を入れてFRPカヤックのメンテナンスをするゾ!
という事で、ここ1ヶ月ほど、時間を作ってずーーーっとカヤックをいじってます。
僕が乗っているグラスファイバーと樹脂で出来ているカヤックは日本では一般的に「FRPカヤック」と呼ばれています。普段、製造会社のBrettさんとやり取りする際はFiberglassとかCabon Fiber kayakと呼びます。ま、それはどーでも良いとして、このFRPカヤックですが、ザックリ言うとこんな感じで作られます。
- カヤック上下の金型があり、上下それぞれの船体(Shell)を作る。作り方は「Vacuum Suction」。
- 作る工程としては、金型に剥離剤を塗る、ゲルコートで金型に色付けする(艇のデザイン通りの色塗り)
- グラスシートを広げる、金型サイズのビニールを被せる、穴からAirを抜く、同時に別の穴から樹脂(Resin)を流し込む
- 金型全体に樹脂が行きわたりグラスシートは樹脂を含んだ状態になる、24~48時間の硬化時間を経て金型から外す
- センターハッチ、リアハッチ、ライブベイトウェル等、必要なアクセサリを先に取り付ける(樹脂パーツ)
- 上下のShellを合わせて樹脂でSealingし、更にSeam lineと呼ばれるベルト(グラスシート+樹脂(顔料で色付))を巻く
- その他のアクセサリ(主にプラ)、ロッドホルダー、プラグ、足回り、などなどを付ける
- 完成
ポリ艇製造(イメージ的にワッフルを焼くような作り方)では、1つの金型で1日に3~4艇作る(焼く)事が出来るのですが、樹脂で作るFRPカヤックは硬化時間が必要なのと、手作業が多い為、1艇作るのに数日の時間がかかるというデメリットというか、製造効率の悪さがあります。また、FRPカヤックはデリケートに扱う必要があるので、ポリ艇みたいにガシガシとした使用が出来なかったりします。
と、ここまで読むと樹脂製のカヤックは乗りにくいと思う方もいると思いますが、実際に漕いでみればグライドの良さ、スピード感、Bodyの質感、発色、等々、樹脂製カヤックならではの良いところにグッとくると思います。
その他に、樹脂製カヤックの特徴として、樹脂を使って修理が出来る!って楽しい話があります。職人に依頼するでも良いし、DIYでも良いし 😎
で、2020年暮れに輸入した1号機を頑張ってDIY修理、メンテナンスしてる様子をBlogに残しておきます。
ゲルコートリペア、トップコート塗り直し
ちょっと下の写真(1枚目)じゃ分かりにくいかもしれませんが、船体後部のハルに凹みがあります。
輸入時でこうだったので、恐らく木製パレットに置かれ、釘があったとか、何か硬い物の上にしばらく置かれ、更に船体の上に何か重たい物も置かれていた。(輸入時、混載便だったので、このカヤックの上にポリ艇が載せられて1ヶ月ぐらいの航海だったのかと 😥 )
それを2,3年前に僕がDIYで直して、こんな感じでした。乗ってる時に詰めたパテが外れたっぽい。下処理問題だよね。。。
という事で、今回のメンテナンスでこの凹み部分を再度直していきます。
まずはヤスリ掛けしてゲルコート部分を削ってザラザラにして、脱脂して、樹脂に白の顔料を混ぜたトップコートを作って塗っていく作業。
1度目の塗りでこんな感じに。
膨らむぐらい塗るのはOK。塗り足りない箇所は凹みが消えないので、駄目。
トップコートを塗って、平らにする為に再度ヤスリ掛け。
一発ではキレイにならず。また削って、塗り足しをします。
この時は、少し樹脂が柔らかい状態で塗ってしまったので液だれにように、下の方に液が溜まってしまった。でも削るからOK。
マスキングテープで削りたくない箇所をカバーして、地道に削る。工具使っても良いし、手作業でもOK。
頑張って、ここまできました。まだ気に入らない!
も1回薄っすらぬって、丁寧に削ってを行い、こんな感じに。
肉眼では、言われない限り見つけられない程、キレイに修理できました 😮
最後にコンパウンド使ってポリッシュし、WaxしてピカピカにすればOK。
次、恐らく石・岩にぶつけて出来た凹みを修理!
接写が上手に出来なかったので、荒い画像ですが、この凹みも硬い物にぶつけて、潰れた様な凹みキズです。
別に漕ぐ分には問題なく漕げるのですが、せっかくの機会なので、これも直します。
マスキングをして、トップコートを塗りたくない、傷の回り部分をカバー。
今回は、樹脂と顔料を混ぜて、とろみが出る迄、充分待ってから塗りました。待ち時間は使う樹脂次第。
これを下処理したキズの箇所に多めに塗る!
で、地道に削り作業・・・。
これも言われなければ分からない程、キレイに直りました~ 😮
その他、カヤックをよく擦る箇所も修理
大きな問題でも無いんですが、せっかくなのでカヤックボトムや前後の先端もトップコートを塗ってキレイにしました。
DIYで復活させる事が出来るってのは嬉しい!
電動工具でサンディング予定だったので厚塗りしました。
塗った後に思ったのですが、もう少し粘度を高めてから塗れば良かったかな・・・。学び。
電動工具でのサンディング、手作業でのヤスリ掛け。
その他、ちょこちょこ気になる箇所を塗ってキレイにしました!
ヘアーラインクラック、ストレスクラックの修理!
これはDIYで手を出そうか、悩ましいクラックかと思います。凹み程度であれば、詰め込みしてフラットに削れば良いだろ!って思うかもしれませんが、こういう蜘蛛の巣のようなクラックは、強い決意が必要!
そう、クラック箇所を自らの手で削って、傷を深くしないといけないんです 😮
ちなみに、ゲルコートのこういったクラックは、ザックリ言えば化粧の問題というか、この程度のキズが原因で浸水するって事は無いかな~と僕は思ってます。ゲルコート下には更に厚いグラスシート+樹脂の層があるので、その厚い樹脂が割れない限り浸水は考えられない、と。
で、この細いクラックの傷を広げる為にはルーターが必要。今回は3つ異なる形状のドリルを使う事に。
まずは細い先端のドリルで、傷をなぞっていき、ガイドラインを作る感じに彫っていきます。
ガイドラインが出来たら、次のサイズのドリルで、傷の幅を広げて、深く彫ります。
この丸い形状のドリルで、ガシガシと傷を広げます。この頃には躊躇は無くなり、ノリノリでやります 😆
で、ゲルコート下の樹脂レイヤーまで到達したら、脱脂。
その傷エリアにトップコートを塗ります。パテをするほどの深さじゃなかったので、トップコートのみにしました。
今回は電動工具を使ってヤスリ掛け。その後、手で紙ヤスリ。
なんとなく微妙だったので、この後もう1回塗って、削りました。
この位でやめる事に。この箇所はラダーのカバーを付ける箇所で、大部分がカバーで隠れるので、この位でOKだろ!という事に。
カーボン製ハッチのフタを修理
カーボンクロスと透明樹脂で作ってあるセンターハッチの蓋ですが、過去数年の使用で、こちらにもダメージが数か所。問題箇所は割れですね。
(作業直前に撮った写真なのでマスキングテープ済み)
ハッチ蓋と艇の付け根部分が割れてます。ま~カヤックという外遊びなんで、丁寧に使用する訳ないですよね 😮
角にも割れ、樹脂の剥離。ここは前に僕が樹脂ぬったんですが、変色してますね。ちゃんとCFRP用の樹脂を使えば変色しなかったのかな~と。
こっちは欠け。これも強い衝撃があったとか、強引にぶつけたとか、ですかね。
上の写真の「欠け」を1番最初に直す事にしました。樹脂に黒色顔料とグラス繊維を混ぜ混ぜ。
下処理をし、蓋の表側にテープをし、裏側からこの樹脂+グラス繊維を塗りこみます。
良い感じに塗りこめたら、マスキングテープにシリコンスプレーをして修復ヵ所にテープ。
んで、指でなぞって凸凹をなるべくフラットにします。こうする事で、仕上がりが少しキレイに。
で、硬化した様子がこんな感じに。
まーまー良い感じに樹脂の欠け、割れを埋める事が出来たかなと思います。
表面はこんな感じに、ぱっと見た感じは悪いのですが、ヤスリをして、この上に黒のトップコートを塗るので気にしなくてOKかなと。
樹脂製のものは、DIYでいじって修理出来るので楽しいですね~。失敗してもやり直しが出来るので積極的に挑戦出来ます。
黒色のトップコートを塗る
このハッチカバーの外側に欠けや割れがあるので、その問題箇所をぐるっと1周、黒のトップコート塗りをやります。
まずはサンディングして透明樹脂に傷を付けます。
ヤスリをかけると、白い粉がふいたようになります。これを水で洗い流して、脱脂、乾燥させました。
念の為、ハッチカバーの裏側にもマスキング。裏側を塗る予定はないのですが、液だれしても良いように・・・。
マスキング後に黒のトップコートを横4面、間隔をあけて塗りました。一気に全部塗った方が良かったのかもしれませんが、作業中に液だれポタポタして自分が汚れる可能性があったので、慌てず塗る事にしました。
とはいっても、今回使った樹脂は硬化するのが早かったので、塗りムラがあるかな。。。厚い所、薄い所。
ちなみに、トップコートを塗ったら、硬化する前にマスキングテープを外します。凸凹を減らしたかったり、気泡が発生する時などは、ドライヤーを使って少し温めるのが良いかと。今回は、ドライヤー無しでやっちゃいましたが…。
とりあえず、色々とスピード勝負なので、テンポ良く物事を進めます。
翌朝のCheck。
サンディングしてフラットにしようか、このままでOKにしようか…、悩ましい所。
ま、いつでもお化粧を直せるので、しばらくはこれで様子見する事にします 😮
っという事で、エッジがボロボロだったハッチの蓋をグルっと1周、黒塗りしました~。
僕的には、Beforeより全然雰囲気良くなったと思います!
カヤックをポリッシュする!
この艇は2年ぶりかな~、コンパウンドつけて磨く事にしました。今回はロッドホルダー、アイレッツといった、プラスチックパーツを外し、普段見えない箇所もキレイにします。
外した理由として、ネジの緩みがある所が数か所あったので、ネジ穴に樹脂を塗って強化したいっていうのもあります。せっかくのメンテナンスなので、そういうのもやっておいた方が良いですよね~。
で、パーツを取り外すと、色々な汚れが目立ちます。土埃なのか、カビなのか、水垢なのか、そんな色々な汚れを落としたい!
特に、こういう4,5年前に塗ったシーリング材の劣化というか、汚れとかもヤバイ。もらい錆びも嫌い。
シーリング材は、手でペロっと剥がせるものや、カッター等の薄い刃を入れて外したり。
ポリッシュはノリノリでやります。その結果、自分に白いコンパウンドが飛び散ります 😮
でも見違えるほどキレイになるので、テンション上がる!!
艇の底の方は、車のラックについているゴムなのか?ドーリーから付いたのか?黒い汚れがあります。ゴムなのかな~。
こういう汚れが全体的にあるので、垢落とししてスッキリしたい!
↓ ↓ ↓
こ~なる!!
ピカピカ~ツルツル~!!
シーリング材を使ってパーツの取り付け
毎回使用するシーリング材(シーカ)を使っていきます。今回も新しいボトル買っといた!
ロッドホルダー用に開けられた穴と、実物のロッドホルダーには数ミリの隙間があるので、そのエリアをしっかりと埋めて取付けをします。
まずは隙間具合をCheck!
塗る!ネジ穴は樹脂でも良いけど、ついでにシーリング材に。
プラスチックパーツの方にも盛り盛りとシーリング材を塗ります。
で、ネジではめ込んで、こんな仕上がりに。
しばらく外していたライブベイトウェルの水のIN OUT用のカーボンパーツの再び取り付け。その他、ドレインパーツも取り付け。
5年前に塗られたシーカー、未だに強力。さすが・・。
塗り方は下手・・・。
カーボンのパーツは樹脂を塗り足して厚くしてます。割れにくくなるので。
もらい錆びも落とす!
あと、コックピット近くで目に付く、もらい錆び!!これが嫌なんですよね。何でステンレスが錆びるんか。。
↓ ↓ ↓
キレイ、キレイ!
カヤックを触れば触る程、学ぶ事多いし、愛着湧きますなーー 😮
っと、Endlessなメンテナンスをやるのが・・・、
楽しい!
■Special Thanks:
Blogには50枚の写真を掲載しましたが、過去1ヶ月、
この写真の殆どをLINEで受け取って話を聞いてくれたYODAさん、付き合ってくれてありがと 😆